2020年7月30日
株式会社Doctor Web Pacific
Dr.Webサーバーの統計によると、2020年6月には前月と比較して検出された脅威の合計数に113.21%の増加が見られました。ユニークな脅威の数は24.1%減少しています。依然として、検出された脅威の多くをアドウェアやマルウェアダウンローダが占め、メールトラフィック内で最も多く検出された脅威もMicrosoft Officeの脆弱性を悪用するマルウェアとなっています。また、マルチモジュールなバンキング型トロイの木馬 Trojan.SpyBot.699 や、メールの添付ファイルとして拡散されてユーザーをフィッシングサイトへリダイレクトする悪意のあるHTMLドキュメントも引き続き多く検出されています。
6月には、Doctor Webテクニカルサポートサービスに寄せられるデータ復号化のリクエスト数も前月と比べて6.55%減少しています。最もアクティブな暗号化ランサムウェアは Trojan.Encoder.26996 で、リクエスト全体の24.71%を占めていました。
6月の主な傾向
- マルウェア拡散活動の著しい増加
- ユニークな脅威の数が減少
- アドウェアが依然として最もアクティブな脅威の1つとなる
- 暗号化ランサムウェア活動の僅かな減少
Doctor Web統計サーバーによる統計
6月に最も多く検出された脅威:
- Trojan.LoadMoney.4020
- アプリケーションと一緒に追加のコンポーネントを被害者のコンピューター上にインストールする悪意のあるインストーラのファミリーです。一部の亜種はコンピューターに関するさまざまな情報を収集し、それらをハッカーに送信します。
- Adware.Elemental.17
- リンクを置き換えることによってファイル共有サービスから拡散されるアドウェアです。ユーザーは通常のファイルの代わりに、迷惑な広告を表示させ、不要なソフトウェアをインストールするアプリケーションを受け取ります。
- Adware.Downware.19741
- 海賊版ソフトウェアのインストーラとして拡散されていることの多いアドウェアです。
- Adware.Softobase.15
- 古くなったソフトウェアを拡散させ、ブラウザの設定を変更するアドウェアインストーラです。
- Trojan.BPlug.3845
- 表示されたWebページにWebインジェクションを実行し、サードパーティの広告をブロックするよう設計された悪意のあるブラウザ拡張機能です。
メールトラフィック内で検出された脅威の統計
- Exploit.CVE-2012-0158
- 改変されたMicrosoft Officeドキュメントで、悪意のあるコードを実行するために脆弱性 CVE2012-0158 を悪用します。
- Trojan.SpyBot.699
- マルチモジュールなバンキング型トロイの木馬です。感染したデバイス上でサイバー犯罪者が様々なアプリケーションをダウンロード・起動し、任意のコードを実行することを可能にします。
- W97M.DownLoader.2938
- Microsoft Officeドキュメントの脆弱性を悪用するダウンローダ型トロイの木馬のファミリーです。感染させたコンピューターに別の悪意のあるプログラムをダウンロードすることができます。
- Tool.KMS.7
- Microsoftソフトウェアの違法コピーをアクティブ化するために使用されるハッキングツールです。
- HTML.Redirector.32
- 多くの場合、無害なメール添付ファイルを装って拡散される悪意のあるHTMLドキュメントです。ファイルが開かれると、コードがユーザーをフィッシングサイトにリダイレクトしたり、ペイロードを含んだマルウェアをコンピューターにダウンロードしたりします。
暗号化ランサムウェア
6月には、5月と比較してDoctor Webテクニカルサポートサービスに寄せられるデータ復号化のリクエスト数に6.55%の減少が認められました。
Dr.Web Security Space for Windows 暗号化ランサムウェアに対する保護
危険なwebサイト
2020年6月に非推奨サイトとしてDr.Webデータベースに追加されたURLの数は122,679件となっています。
2020年5月 |
2020年6月 |
推移 |
+ 107,082 |
+ 122,679 |
+ 14.56% |
6月にAndroidデバイス上で検出された脅威の合計数は、5月と比較して17.2%減少しています。Doctor Web のウイルスアナリストによってGoogle Play上で新たな脅威が発見され、それらの中にはアドウェア Android.HiddenAds の新たな亜種や、被害者を有料サービスに登録させ任意のコードを実行する多機能トロイの木馬 Android.Joker ファミリーの亜種が含まれていました。また、新たなバンキング型トロイの木馬も発見され、 Android.BankBot.733.origin と名付けられました。このトロイの木馬は追加の悪意のあるコンポーネントをダウンロードし、Androidのアクセシビリティサービスを悪用してそのコンポーネントをインストールしようとします。
6月の注目に値するモバイルセキュリティに関するイベントは以下のとおりです。
- 保護されたデバイス上でのマルウェア活動が減少
- Google Play上で新たな脅威を発見
モバイルデバイスを標的とする悪意のあるプログラムや不要なプログラムに関する詳細はこちらのレビューをご覧ください。