Dr.Webアンチウイルスの検出統計によると、2024年2月に検出された脅威の合計数は1月と比較して1.26%増加し、一方でユニークな脅威の数は0.78%減少しています。広告を表示させるさまざまなトロイの木馬や望ましくないアドウェアプログラムが、引き続き最も多く検出された脅威となりました。また、別の脅威と一緒に拡散されてそれらの検出を困難にする悪意のあるアプリも依然として多く検出されています。メールトラフィック内では、悪意のあるスクリプト、フィッシング攻撃に使用されるドキュメント、Microsoft Officeソフトウェアの脆弱性を悪用するプログラムが最も多く検出されました。
Doctor Webテクニカルサポートサービスに寄せられた、ランサムウェアによって暗号化されたファイルの復号化リクエスト数は前月と比較して7.02%減少しています。最も多く拡散された暗号化ランサムウェアは Trojan.Encoder.3953 (インシデント全体の18.27%)、 Trojan.Encoder.37369 (インシデント全体の9.14%)、 Trojan.Encoder.26996 (インシデント全体の8.12%)となっています。
モバイルデバイス向けの脅威では、アドウェア型トロイの木馬 Android.HiddenAds の検出数が大幅に増加し、再び最も多く検出されたマルウェアとなりました。
2月の主な傾向
- 検出された脅威の合計数が増加
- 悪意のあるスクリプトとフィッシング攻撃に使用されるドキュメントが、メールトラフィック内で最も多く検出された脅威となる
- ランサムウェアに暗号化されたファイルの復号化リクエスト数が減少
- モバイルデバイス上でアドウェア型トロイの木馬 Android.HiddenAds の検出数が増加
危険なWebサイト
2024年2月にも引き続き、さまざまなテーマの不審なサイトがDoctor Webのインターネットアナリストによって確認されています。そのようなサイトの一つに、送金を受け取ることができるとユーザーに通知するものがあり、サイバー犯罪者に人気となっています。お金を「受け取る」ために、ユーザーは銀行振込「手数料」を支払う必要があります。これらのサイトへのリンクはブログプラットフォーム「Telegraph」への投稿など、さまざまな方法で拡散されています。
以下の画像はそのような投稿の例です。オンラインストアのアンケートに参加して獲得した報酬を「受け取る」よう促しています。
「ОФОРМИТЬ ВЫПЛАТУ(GET A PAYMENT:支払いを受け取る)」リンクをクリックしたユーザーは、そこでお金を受け取ることができるとされる存在しない詐欺サイト「Международная Система Платежей и Переводов(International Payment and Transfer System:国際決済および送金システム)」へとリダイレクトされます。
お金を「受け取る」ために、ユーザーはまず名前やメールアドレスなどの個人情報を提供するよう求められます。次に、実際には存在しない報酬を「送金」するための「手数料」を正規のFaster Payments System(即時決済システム)で支払う必要があります。ここでスキャマーは、指定したバンクカード番号あてにインターネットバンキングでこの「手数料」を支払うよう要求します。実際はFaster Payments Systemでは携帯電話番号を使用した送金しか行うことができません。ロシアで広く普及している送金方法を選択して提示することで、金融リテラシーの低いユーザーが騙されることを期待しているものと考えられます。「手数料」の支払いに同意してしまったユーザーは、自分のお金を直接スキャマーのバンクカードに送金してしまうことになります。将来的には、この金銭詐取に実際にFaster Payments Systemが利用されるようになる可能性もあります。