2020年11月11日
株式会社Doctor Web Pacific
Dr.Webの統計によると、2020年10月に検出された脅威の合計数は前月と比較して37.80%増加し、一方でユニークな脅威の数は2.64%減少しています。検出された脅威の多くを依然としてアドウェアやマルウェアインストーラが占めていました。メールトラフィック内ではバンキング型トロイの木馬 Trojan.SpyBot.699 や、Microsoft Officeプログラムの脆弱性を悪用するマルウェアが最も多く検出されています。また、メールの添付ファイルとして拡散されてユーザーをフィッシングサイトへリダイレクトする悪意のあるHTMLドキュメントも引き続き多く検出されています。
10月にDoctor Webテクニカルサポートサービスに寄せられたデータ復号化のリクエスト数は前月と同程度となっています。最もアクティブな暗号化ランサムウェアは Trojan.Encoder.26996 で、リクエスト全体の26.34%を占めていました。
10月の主な傾向
- 検出された悪意のあるソフトウェアの数が増加
- アドウェアが依然として最もアクティブな脅威の1つとなる
Doctor Web統計サーバーによる統計
10月に最も多く検出された脅威:
- Adware.Downware.19741
- 海賊版ソフトウェアのインストーラとして拡散されていることの多いアドウェアです。
- Adware.Elemental.17
- リンクを置き換えることによってファイル共有サービスから拡散されるアドウェアです。ユーザーは通常のファイルの代わりに、迷惑な広告を表示させ不要なソフトウェアをインストールするアプリケーションを受け取ります。
- Adware.Softobase.15
- 古くなったソフトウェアを拡散させ、ブラウザの設定を変更するアドウェアインストーラです。
- Trojan.LoadMoney.4020
- アプリケーションと一緒に追加のコンポーネントを被害者のコンピューター上にインストールする悪意のあるインストーラのファミリーです。一部の亜種はコンピューターに関するさまざまな情報を収集し、それらをハッカーに送信します。
- Trojan.AutoIt.289
- AutoItスクリプト言語で記述され、マイニング型トロイの木馬やRATトロイの木馬の一部として拡散される悪意のあるユーティリティプログラムです。メインのペイロードの検出を困難にする、さまざまな悪意のある動作を実行します。
メールトラフィック内で検出された脅威の統計
- Tool.KMS.7
- Microsoftソフトウェアの違法コピーをアクティブ化するために使用されるハッキングツールです。
- Trojan.SpyBot.699
- マルチモジュールなバンキング型トロイの木馬です。感染したデバイス上でサイバー犯罪者が様々なアプリケーションをダウンロード・起動し、任意のコードを実行することを可能にします。
- W97M.DownLoader.2938
- Microsoft Officeドキュメントの脆弱性を悪用するダウンローダ型トロイの木馬のファミリーです。感染させたコンピューターに別の悪意のあるプログラムをダウンロードすることができます。
- HTML.Redirector.33
- HTML.Redirector.32
- 多くの場合、無害なメール添付ファイルを装って拡散される悪意のあるHTMLドキュメントです。ファイルが開かれると、コードがユーザーをフィッシングサイトにリダイレクトしたり、ペイロードを含んだマルウェアをコンピューターにダウンロードしたりします。
暗号化ランサムウェア
10月には、9月と比較してDoctor Webテクニカルサポートサービスに寄せられるデータ復号化のリクエスト数に1.67%の減少が認められました。
Dr.Web Security Space for Windows 暗号化ランサムウェアに対する保護
危険なwebサイト
2020年10月に非推奨サイトや悪意のあるサイトとしてDr.Webデータベースに追加されたURLの数は157,076件となっています。
2020年9月 |
2020年10月 |
推移 |
+ 152,270 |
+ 157,076 |
+ 3.16% |
10月にAndroidデバイス上で検出された脅威の合計数は、9月と比較して12.36%増加しています。リスクウェアの検出数は3倍近く増加しました。この急激な増加は特殊なソフトウェア難読化ツールによって保護されたアプリケーションが拡散されたことによるものです。マルウェア作成者がこのツールを使用することで、トロイの木馬をアンチウイルスによって検出されにくくすることが可能です。
Google Playでも新たな脅威が検出されています。それらの中には、詐欺サイトをダウンロードする Android.FakeApp の新たな亜種や、トロイの木馬 Android.HiddenAds.2314 が含まれていました。
10月のモバイルセキュリティに関する注目すべきイベントは以下のとおりです。
- 保護されたデバイス上でのマルウェア活動が増加
- Androidデバイス上に侵入したリスクウェアアプリの数が顕著に増加
- Google Playで新たな脅威を検出
モバイルデバイスを標的とする悪意のあるプログラムや不要なプログラムに関する詳細はこちらのレビューをご覧ください。