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2020年6月23日
株式会社Doctor Web Pacific
2020年5月には、4月と比較してAndroidデバイス上で検出された脅威の数に3.35%の増加が認められました。マルウェアの検出数は3.75%増加し、リスクウェアは8.77%、アドウェアは1.62%の増加となっています。一方、不要なソフトウェアの検出数は1.77%減少しています。
5月の終わりには、ゲーム『Valorant』のモバイル版を装って拡散されていたトロイの木馬 Android.FakeApp.176 がDoctor Webのスペシャリストによって発見されました。このトロイの木馬はサイバー犯罪者がさまざまなアフィリエイトプログラムから収益を得ることを可能にします。
Google Play上では、任意のコードを実行しユーザーを有料サービスに登録させるトロイの木馬 Android.Joker ファミリーや広告を表示するよう設計されたトロイの木馬 Android.HiddenAds ファミリーの新たな亜種が発見されました。また、不要なアドウェアモジュールを含んだアプリや、トロイの木馬 Android.Circle ファミリーの新たな亜種も発見されています。このトロイの木馬は広告を表示させ、BeanShellスクリプトを実行してさまざまなWebサイトを開き、そこでバナーやリンクをクリックします。モバイルデバイスを狙ったそのほかの脅威も5月を通じて拡散されました。
5月、Doctor Webはゲーム『Valorant』の偽のモバイル版を発見し、それについて記事を公表しました。実際には、このモバイル版はトロイの木馬 Android.FakeApp.176 です。犯罪者はこれまでも数年にわたり人気のアプリを装ってこのトロイの木馬を拡散させてきました。目的はアフィリエイトプログラムを通じて違法な収益を得ることです。
ゲームにアクセスするために、ユーザーはアフィリエイトサイトでいくつかのタスクを実行するよう促されます。そのようなタスクの1つに、別のゲームをインストールして実行するというものがあります。ユーザーがタスクを完了することで犯罪者は報酬を手にし、一方でユーザーは何も受け取りません。
Androidアプリケーション内に組み込まれ、モバイルデバイス上に迷惑な広告を表示させるプログラムモジュールです。属するファミリーやそれぞれの亜種によって、フルスクリーンモードで広告を表示させて他のアプリケーションのウィンドウをブロックする、さまざまな通知を表示させる、ショートカットを作成する、Webサイトを開くなどの動作を実行することができます。
5月には、 Android.Joker ファミリーの新たな亜種である Android.Joker.174、 Android.Joker.182、 Android.Joker.186、 Android.Joker.138.origin、 Android.Joker.190、 Android.Joker.199 などのトロイの木馬がDoctor Webのマルウェアアナリストによって発見されました。これらトロイの木馬は文書管理アプリや画像集アプリ、カメラアプリ、システムツール、メッセンジャーなどの一見無害なソフトウェアに組み込まれていました。トロイの木馬を含んだこれらのアプリは、起動されると任意のコードを実行し、ユーザーを有料サービスに登録させることができます。
また、システムパフォーマンス最適化ツールを装って拡散されていたトロイの木馬 Android.Circle.15 も発見されています。起動されると、このトロイの木馬は広告を表示させ、さまざまなWebサイトを開いて埋め込まれたリンクやバナーをクリックします。 Android.Circle ファミリーに属する他のマルウェアと同様、 Android.Circle.15 もまたBeanShellスクリプトを実行することができます。
5月に発見された脅威のなかには、 Android.HiddenAds.2134、 Android.HiddenAds.2133、 Android.HiddenAds.2146、 Android.HiddenAds.2147、 Android.HiddenAds.2048、 Android.HiddenAds.2150 などの Android.HiddenAds ファミリーに属するトロイの木馬も含まれていました。これらトロイの木馬は、WhatsAppのステッカーコレクション、ゲーム、画像集、さまざまなチュートリアルアプリを装って拡散されていました。これらトロイの木馬の30を超える亜種が発見されており、160,000人近いユーザーがそれらをインストールしています。
起動されると、これら悪意のあるアプリはAndroidのホーム画面にあるアプリリストから自身のアイコンを隠し、広告バナーをフルスクリーンで表示させて感染したデバイスの操作を妨げます。
Adware.AdSpam.4、 Adware.AdSpam.5、 Adware.AdSpam.6 と名付けられた新たなアドウェアモジュールもまた、ゲームや画像集などの無害なアプリを装って拡散されていました。 Android.HiddenAds ファミリーと同様、これらも他のアプリの前面にバナーを表示させます。ただし、アイコンを隠すことはしないため、ユーザーは簡単に広告のソースを特定してアドウェアモジュールが組み込まれたアプリを削除することができます。
5月に拡散された脅威の中には、 SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)のパンデミックに乗じたトロイの木馬も含まれていました。 Android.Spy.660.origin と名付けられたこのマルウェアは COVD-19 の感染者数を確認するためのツールを装って拡散されていましたが、本当の目的はサイバースパイ活動にあり、ウズベキスタンのユーザーが主な標的となりました。 Android.Spy.660.origin はユーザーのSMSや通話を傍受し、連絡先情報を盗み見ます。起動されるとシステム権限を要求し、ユーザーの疑いを招かないよう感染者数を表示させます。
バンキング型トロイの木馬による攻撃も依然として続いています。ベトナムのユーザーは公安省の偽のWebサイトを介して拡散されていた Android.Banker.388.origin の標的となり、日本では郵便や宅配便の偽のWebサイトからこれまでにも拡散されていたさまざまなバンキング型トロイの木馬ファミリーが再びユーザーを襲いました。
お使いのAndroidデバイスをマルウェアや不要なプログラムから保護するために、Dr.Web for Androidをインストールすることをお勧めします。