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Word文書に潜むダウンローダ型トロイの木馬

2015年8月14日

株式会社Doctor Web Pacific


Dr.WebアンチウイルスソフトウェアによってEメールトラフィック内で検出された悪意のあるプログラムの統計から、W97M.DownLoaderファミリーに属するマルウェアを含んだ危険なファイルを添付したEメールが、サイバー犯罪者によって定期的に送信されていることが明らかになりました。その数は、8月の初めにはEメールによって拡散される全てのウイルスおよびトロイの木馬のうち1%を占めていました。この記事ではW97M.DownLoaderファミリーに属する危険なW97M.DownLoader.507について紹介します。

W97M.DownLoader.507はEメールの添付ファイルとして拡散されるMicrosoft Word文書です。Doctor Webセキュリティリサーチャーによって解析されたサンプルでは、Eメールで送られるFaxメッセージを装っていました。しかし、サイバー犯罪者は作成日に誤った日付を指定するというミスを犯しています。

ファイル自体はRSAを用いて暗号化されていると考えられます。メッセージの内容を読むために、被害者はマクロを有効にするよう促されます。

文書には一見空白のページが含まれています。しかし実際は白い文字でメッセージが書かれ、ユーザーがマクロを有効化することでこれらの文字が見えるようになっています。

マクロが有効化された後、これらのテキストがユーザーに対して表示されます。同時にトロイの木馬はリモートサーバーから複数のコードフラグメントをダウンロードし、それらのフラグメントからWindowsのバージョンに応じて.bat、.vbs、または.ps1拡張子を持つスクリプトを生成した後、コンピューター上に保存した上で実行します。次にこれらのスクリプトが、サイバー犯罪者によって管理されるサーバーから実行ファイルをダウンロードし、実行します。今回のケースではW97M.DownLoader.507によって、危険なバンキングトロイの木馬である Trojan.Dyre.553が感染したコンピューター上にダウンロードされます。

Doctor Webでは、未知の送信者から受け取ったMicrosoft Office文書は、アンチウイルスソフトウェアによるスキャンを実行した上で開くよう推奨しています。また、添付されたWord ファイルを開く際にはマクロを有効化しないことを強くお勧めします。

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